「生きる」を見終わった(1952年/日本)
.
.
30年間無欠勤で働いてきた市役所の市民課長・渡辺は、ある日自分が癌に冒されていることを知る。絶望と孤独にさいなまれ、これまでの事なかれ主義的生き方に疑問を抱いた彼は、最後に市民のための小公園を建設しようと奔走するのだが(U-NEXTより)
.
.
■
.
.
言わずと知れた巨匠、黒澤明監督の作品だ。以前からずっとみたいなーと思っていた。
.
.
視聴後に調べてみると、ノーベル賞作家のカズオイシグロとのコラボで新たにリメイク版も出されているようだ。
.
.
生きるとはなんだろうね。
.
普通の毎日をしっかり生きること。ルールに従って法を犯さずに真面目に働くこと。酒を飲んでギャンブルをし、セックスをして快楽を貪ること。
.
・・・
・・・
・・・
.
正解はない。
.
そんな答えがないことにどうやって折り合いを付けるか。それこそ生きながら生きる意味を見出していくんじゃないかな。年月を経ながら人生観や死生観を養っていくんだろう。
.
30年間の会社勤めが間違いだとは思わない、むしろ立派だと思う。
.
人生には進学や就職、結婚などいくつかターニングポイントがある。そういう意味ではどんな凡人にも「本気を出す場面」が用意されているのかもしれないね。
.
.
この映画「生きる」は1952年の作品だ。
.
玉音放送で涙して、GHQに統治され、何もない焼け野原の状態から、わずか7年で「生きる意味は何か」と考えられるくらいになったんだなと。
.
明日食べる物にも貧すれば、そもそも生きる意味など考えない。毎日をどうやって食いつなぐのか、やり過ごすのかに精一杯だからね。
.
それがわずか数年で、承認欲求や自己実現欲求、つまるところマズローの4段階目まで昇華する。
.
この部分がすごく驚きだった。日本人すげーなと(笑)皮肉な事に70年後の現在はこの部分が足枷になってる感があるけれど。
.
.
印象的だったのは主人公渡辺の葬式のシーンだった。役所の連中が自己保身に忙しい中、町民が泣きながら焼香に来るんだよね。
.
・・・
・・・
・・・
.
死んだときに、誰か一人でも心の底から悲しんでくれる人がいたら、それだけでも生きる意味があったんじゃないだろうか。
.
あとね、この葬式の件をあえて中盤に持ってきて、その後は回想シーンで繋ぐという構成が斬新だった。
.
世界の黒沢に対して上から目線ですみません(笑)
.
.
悲しかったのは、音声がアナログでボリュームを上げてもセリフが聞き取りにくい部分があった。令和の技術で何とかできないものだろうか。そこだけがすごく残念だった。
.
最後の市役所のやり取りのシーンが素晴らしい!個人的にはこれ以上ない最高の終わり方だと思う。
.
見れてよかったです。
.
.
コメント