「ゆるい職場 若者の不安の知られざる理由」を読み終えた。
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著者はリクルートワークスで、学生や若手社会人の就業や価値観の変化を検証、研究しているそうだ。タイトルが面白そうだったので購入。
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[早期離職率] 初職就業後3年以内の離職率のこと
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日本社会は今後本格的な若者人口の減少の局面を迎える。2008年に120万人台に突入した18歳人口は15年近く120万人前後で推移しており2020年も117万人であった。しかし2030年代前半には100万人を割ると推定されている。
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「仕事がきつくて辞めたい」と思っている若者と並んで、「仕事がゆるくて辞めたい」と思っている若者が多数存在している。全体を総合すれば「会社のことはゆるくて好きだが、キャリアは不安なので退職を考えている」という若手の存在が浮かび上がる。
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入社前に社会的経験が多いと「見切り」が早い。
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社外活動を経験している人のほうが会社への評価が高い。一方で、外を見て自社のことは好きになるが転職率は上がる。
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若手が外の世界で育つこと。しかしそれだけでは不十分であり、もうひとつ、外側の世界の内容を自社に還元することで初めて好循環が回り出す。若手にとっても職場にとっても、自社と外側の世界の循環が生じることでその恩恵を最大化できるのだ。
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大学等へ入学後、その選択に満足しているか聞いたところ、全体では39%が満足と答えていた。しかし選択理由が「合格できそうだったから」と答えた人では27%しか満足と答えていない。一方で、選択の理由が「将来就きたい仕事と関連しているから」では満足している人の割合いが50%に達していた。
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大手企業で目の前の仕事に黙々と取り組む中で、SNSでかつての同級生が起業したり、副業で活躍をしていたり、メディアに出たりするのを見ることもある。そんなとき、モヤモヤ感は最高潮となる。
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失敗した人の話をメディアで見ることで何か現状を維持することにお墨付きを得たような気になっていないだろうか。はたまた「何がフィットするか分からなくなり万策尽き果てた」就活生のように、甲乙論駁の情報の中で何が正しいか分からない状況に陥っていないだろうか。SNSやメディアで流れる転職の成功、違う職場の良い情報が現状への安易な否定に繋がっていないだろうか。
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「指導とハラスメントの境界線が曖昧なのが気になっています。昨今は録音される恐れもある。メールやチャットなどで文字で送るとスクリーンショットで保存される。若手に何か言うリスクが、長期的なチームのパフォーマンスを高めるメリットを上回ってしまっていると感じます。最近はできない若手がいても、強く指導はせず放置しておいて人事評価だけ下げるという対応を取ることが増えています。自分で気付いてくれるとよいのですが」
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以上引用です
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感想は・・・なんとも羨ましい(笑)
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「昔はねー」なんて言うと煙たがれるのは分かっているけれど、パワハラやセクハラの概念もなく、タバコの煙が充満している中で仕事をしなければならなかった時代より恵まれているなと。
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叱責や罵詈雑言も日常茶飯事で、労働時間も長かった。ちなみに従業員数万人の上場企業だからね、今なら炎上案件だろう。
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そんな「きつい職場」から、先人たちの犠牲を踏み台にようやく「ゆるい職場」に変わってきた。しかしながら、ただゆるければ万事うまくいくわけでもないようだ。
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つまるところ、行き過ぎた揺り戻しが来てるんだろう。
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短期離職率はほぼ変わらず3割強で推移している。大学新卒社員の3人に1人は辞めるので、離婚率と同じくらいだ。
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海外では quiet quitting(無言の離脱)という現象も起きている。
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職場での働き方が大きく転換したのは2015年の法律改正が大きな要因になったそうだ。企業側は社員の有給休暇取得率や短期離職率の開示が必要になり、数字で客観的に評価されるようになった。
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今では加えて、SDGs や ESG など社会貢献に積極的でないと人も投資も呼び込めなくなっているよね。
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アルバイト先でも、社員の方は話し方や指示の出し方に気を使っているのが分かる。こんなしがないアルバイトでも顎で使われたことはない(笑)
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ただ、この本のデータは大企業(従業員1,000人以上)におけるものだ。地方や中小企業ではまた違う結果になるのかもしれない。
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終わりの方で説明されていた計画的偶発性理論は「ジャニーズは努力が9割」にも出てきたセオリーだ。
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人間万事塞翁が馬よろしく、何が後でどう結びついて実となり花となるかは分からない。役に立ちそうにないどうでもいいような事でも、後になって役立つことは人生でたくさんあると思うよ。
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現に「ジャニーズは努力が9割」で読んだ内容が、今こうやって紐付けられているわけで。
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「ゆるい職場」の弊害のひとつは若者の能力差が大きくなることだろう。
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毎年新入社員が入ってきて、すぐに新人枠ではなくなる。若さの免罪符を失ったときに何も残っていないのは悲しいよね。
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むしろ「きつい職場」だった頃よりも自主的に学んでいかなければならないだろう。
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大企業やベンチャーでバリバリ仕事をして、経験を積んでスキルアップする。経済的な安定だけでなく、やりがいも感じられるのは素晴らしいよね。充実した人生を送れるだろう。
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一方で、仕事はあくまでも人生の一部だ。仕事はもちろん大事だけれど、仕事だけでもないからね。仕事以外にやりたいことがあって、そちらの邪魔にならないような仕事を選ぶ人生もありなんじゃないかな。
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不肖ながらひとつだけエールを送らせてもらうなら
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「本気を出すのは家に帰ってから」
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だろうか。
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会社で輝くのであれ、その他で輝くのであれ。
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最後にこの本「絶対悲観主義」から
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若者の最大の特権は、時間があることでも、未来の可能性があることでも、体力があることでも、頭の柔軟なことでもありません。「まだ何者でもない」ということです。
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興味のある方はどうぞー
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