スマホ時代の哲学

読書

「スマホ時代の哲学」を読み終えた。
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著者は哲学者。
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人生のレールを外れる衝動のみつけかた
「人生のレールを外れる衝動のみつけかた」を読み終えた。..著者は人間、環境学の博士で哲学者だそうだ。なんだか面白そうだったので購入。この方の本は初めてだった。..■..寄る辺ない消費者の欲望は、往々にして感情の高揚(欲望の強さ)で勝負しています(最高、尊い、神、クソデカ感情など)しかし、そういう欲望は、実際は色々なものに自分の判断基準を預けることで成立するもの、つまり他者の欲望を自分の欲望としてコ...

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以前「人生のレールを外れる衝動のみつけかた」を読んだ。
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君たちにとっても、生きることは激務であり不安だから、君たちは生きることにうんざりしているんじゃないか?君たちはみんな激務が好きだ。速いことや新しいことや見慣れないことが好きだ。君たちは自分に耐えることが下手だ。なんとかして、君たちは自分を忘れて、自分自身から逃げようとしている(フリードリヒ・ニーチェ)
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モニター上では、話題になっていたNetflixの新作ドラマのPVが自動で流れた状態のまま、実況者の深夜配信のアーカイブをイヤフォンで聴き、スマホ上で画像をレタッチして友達に送りながら、スマホではさっき買った電子書籍のダウンロードがバックグラウンドで処理されていて、パソコンではDiscordで別の友人と通話をつなぎっぱなしにしている。同時並行していると気づいていないくらい当たり前の行為ですね。それぞれのコンテンツやコミュニケーションの参加度合いは薄いものになっているため、消費環境のほうも、前提知識なく消費しやすく満足も短い間に得られるように最適化されています。
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ハンバーガーを欲しがるのと同じ仕方でニーチェを欲しがる学生がいる。しかし、そういう学生は、その消化のしきれなさ、その難しさこそがニーチェであるということを把握できず、消費者の論理がこの誤解を強化しているところがある。
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自力思考が平凡なアウトプットに陥るのは、自分がすでに持っている考えを再提出しているにすぎないからです。未知を注意深く観察して問題に取り組むはずだったのが、自分がすでに正しいと心のどこかで思っていた事柄を結論や意見として差し出しているだけだということです。だとすれば、不用意で問題含みの企画も、正義や道理にもとる判断も、いじめやハラスメントの隠蔽も、等しく「自分の頭で考えた」末に出てきたものだということを真剣に捉えたほうがいい。
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想像力の豊さは、「自分の内側に他者を住まわせていくこと」を指していると言い換えることもできます。この線でいくと、他人の頭を借りて考えられる状態は、自己の内に住んでいる多様な他者の想像力を状況に合わせて使い分けられることを指すのだと表現できます。
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レビューや要約サイトを読んで、その本を読んだ気になることの問題点もこのこの辺にあります。レビューや要約からは知識の使いどころを読み取ることができません。だから、要約だけ知って満足する人は、書籍を知識としてのみ扱い、その想像力を学ばないために努力しているようなものです。
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映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形
「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形」を見終わった。..著者はライターでコラムニスト、編集者の方らしい。タイトルに惹かれて購入(笑)この人の本は初めてだった。..■..20~69歳の男女で倍速視聴の経験がある人は34.4%、内訳は20代男性が最も多く54.5%、20代女性は43.6%、次いで30代男性が35.5%、30代女性が32.7%だ。20代全体の49.1...

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哲学に提供できるのは仮設だけであり、しかも、取り巻く環境に対して人の心を敏感にするときにのみ、その仮説には価値がある(ジョン・デューイ)
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何かに集中して取り組むために、一定以上求められるのが物理的な隔離状態です。この意味で「孤立」とは何かに集中的に注意を向けるための条件になっているのが分かります。それに対して「孤独」は「沈黙の内に自らとともにあるという存在のあり方」だと説明されます。孤独にあるときの私たちは、心静かに自分自身と対話するように思考しているということです。
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アーレントは「孤独」と「寂しさ」を区別するとき「孤独」が「孤立」を必要とするのに対して、寂しさは「他の人々と一緒にいるときに最もはっきりあらわれる」と述べています。
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私たちが孤独の恩恵を受けようとしないのは、孤独になるために必要な時間を活用すべき時間と考えるからだ(シェリー・タークル)
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私たちは、他人の目にさらされると、他人に合わせて自己(他人が期待する自己)へと無意識に調整してしまいます。
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[ネガティブ・ケイパビリティ] 結論づけず、モヤモヤした状態で留めておく能力
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現代の自己啓発が促すのは、内面の関心だけを極大化させる自己完結的な生き方、つまりオルテガが批判した「自分の生の内部に閉じこもる」生き方です。自己啓発の提供する論理は、自分の内側を堂々巡りして延々と自分の独り言を聞き、エゴイズムの迷宮を育てるようなところがあります。
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[抑鬱的快楽] 「快楽的なダルさ」に浸り、「やわらかい昏睡状態」になることで得られる安楽によって気分が落ち込まないようにする心の在り方。言い換えると断片的で即時的なコミュニケーションや表面的な感覚刺激のレベルに自分の体験を分解していくことで、不安や退屈を意識せずに済むようようにするストレス・コーピング。
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The Japan Times Alpha 22.6.10 [にわか雨、取り残される恐怖、自己中心的で差別的な白人女性]
The Japan Times Alpha の記事を読んで楽しみながらボキャビルも増やしたいということで、印象に残ったことを記録していきます。..■2022.6.10日号の記事から(完読度90%).マインドフルネスが面白かった。自分も何度か試したことがあるが横にならなくても寝そうになる(笑).You close your eyes and let your mind scan through ev...

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[妄想分裂ポジション] 人や物事の一部だけを見て関係を築き、曖昧を許容せずに明確に白黒付ける状態
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[抑鬱ポジション] 人や物事に、良い面と悪い面が共存することを認めつつ、自身が対象に両義的な衝動を持つことに罪悪感や葛藤を抱いている状態
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[自閉接触ポジション] 貧乏ゆすり、ニキビつぶし、ソシャゲを周回する際などの単純なスマホ操作の反復などに見られるような、断片的でばらばらの感覚に固執する心の在り方
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とりわけSNSでは「他人が自分をどう思っているかという評価を大きく読み誤ることが多い」ように思われます。必死に「他人の評価する私」に最適化しようと苦しんでいるとしても、そもそもの「評価」が勝手な想像や誤読かもしれないわけです。常時接続に浸りきるのが危ういのは、SNSを用いて私たちがやっているのが誤読の可能性が高い「タイムラインの評価」に最適化することだからです。
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以上引用です
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本書が数多ある類似情報と一線を画しているのは、孤独や趣味をイタズラに賞賛していない点だ。
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単に「スマホを捨てろ」「一か月やめてみた」みたいな耳障りのいいサムネで、薄ら寒く訴えかけてこない。
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スマホが手放せないことを前提に、スマホによって失われがちな孤独を確保するやり方。身近なメタファーを多用しながら、スマホによって加速されがちな寂しさと付き合う具体的な方法を提示してくれる。
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はっきり言うと、スマホは好きではない。
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というか苦手。下手くそ(笑)
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デスクトップの時代にネットにつながったのが一番の理由だと思う。
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まず小さい画面でコンテンツを観て処理するのが苦痛。情報量は到底トリプルモニターに適わない。必然的にゲームも据え置き型一択に。
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最も嫌いなのは通知で、いまだにスマホのSNSはYoutubeしか(プリ)インストールされていない。
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かといってスマホがないと、会社の健康診断も受けれないし、銀行口座や証券口座にログインできない。生きていくためには(ほとんどの人にとって)必須のツールだと思う。
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一方でパソコンには長時間向かう。今もこの長文も打ち込んでいるし、意味のないネットサーフィンもする。
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SNSは Youtube とブログを見ることが多いかな。ダラダラ見てしまうよね。去年作ったインスタグラムのアカウントも持ってますよ。
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椅子に座れば自動でモードが切り替わる。そして電源を落とせば一区切りつく。
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外の世界と遮断されるし、いかなる通知も届かない。この辺がPCのメリットであり、スマホ世代のデメリットでもあるだろう。
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スマホ脳
「スマホ脳」を読み終えた。..著者はスウェーデンの精神科医。前作の「一流の頭脳」(未読)は日本でもべストセラーになったそうで、著者の本はこれが初めてだ。..できるだけ長い時間その人の注目を引いておくにはどうすればいい?人間の心理の弱いところを突けばいいんだ。ちょっとばかりドーパミンを注射してあげるんだよ。ショーン・パーカー フェイスブック元CEO ..■..うつを引き起こすリスクに影響する遺伝子に...
僕らはそれに抵抗できない
「僕らはそれに抵抗できない」を読み終えた。..依存症と言うとタバコやビールなどの「物質依存」を思い浮かべるが、最新のテクノロジーから現在の依存症である「行動依存」について詳しく書かれている。訳も素晴らしくとても読みやすい。.プロローグを読んだだけで「次のページをめくりたい衝動に抵抗できない」レベルの良書(笑).■.どれだけハッシュタグをクリックしてもその先がある。まるで有機体みたいに独り歩きを始め...
嫉妬論
「嫉妬論」を読み終えた。..面白そうだったので購入。この人の本は初めて。..■..スイス東部にあるベルギューンはとても美しい観光地として知られているが、ベルギューンはそのあまりのインスタ映えのために、写真撮影を禁止した。街には以下のような看板が設置された。「絵のように美しい風景の写真をソーシャルメディアでシェアすると、他人を不幸にしてしまうかもしれません。なぜなら、彼らはここに来ることはできないの...
なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか
「なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか」を読み終えた。..著者はエッセイストでジャーナリストらしい。自身が燃え尽き症候群で大学の終身在職権(tenure)を失った経験が大変興味深かった。.原題は Why work drains us and how to build better lives..■..バーンアウトに陥る人は理想主義的傾向が強い。高い理想を掲げて仕事をする人の場合、その高潔な理想が問題を...
エピクロスの処方箋
「エピクロスの処方箋」を読み終えた。..本屋でぷらっとな。著者の本は初めて。..■..たとえば「エチカ」はそのひとつだ。スピノザの世界を理解するには、この手強い本を少しずつでも咀嚼して、とにかく最後まで読んでみるしかない。途中で投げ出さず、忍耐強く取り組んで最後の一行まで辿っていく。一度でもそういう経験をした本は、今は意味が分からなくとも、ある日突然お前の頭の中に戻ってきて色々なことを教えてくれる...
カウンセリングとは何か
「カウンセリングとは何か」を読み終えた。..本屋でぷらっとな。著者は臨床心理士で公認心理士。専門は精神分析と医療人類学らしい。面白そうだったので購入。..■..心を「分かる」とは一体何か。大きくふたつに分かれます。ひとつは「心の置かれている全体状況」をわかることです。つまり、心単体を知ろうとするのではなく、環境や身体の状況を分かること、そして心が辿ってきた歴史的経緯と未来の展望をわかることです。も...
ドライブ・マイ・カー インターナショナル版
「ドライブ・マイ・カー インターナショナル版」を見終わった(U-NEXTで399円)..舞台俳優であり演出家の家福は、愛する妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去を抱える寡黙な専属ドライバーみさきと出会い(U-NEXTより)..村上春樹さんの原作を映画化したものらしい。自分は未読で、知識ゼ...

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最後に印象に残ったところを。
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スマホの迷宮的時間の中をさまよっていて、ふとしたきっかけで現実に戻った後に、自分が何をしていたのか人に説明できないですよね。同じことはパソコンのネットサーフィンでも起こりますが、スマホでSNSを見ているときが一番「さまよい感」が激しい。そして、厄介なのが、SNSという迷宮は、わたしがどの投稿を何秒間見ていて、いいねしたりコメントの続きをタップしたのかという行動に即応するように次の瞬間に表示する情報を調整してきます。歩いていると壁が自動的に組み替えられていくダンジョンのようですね。そうして、ほぼ何も考えずとも、反射的に「面白そう」と思う方向をタップするように指が誘導されていく。「別にそれでも面白いと思える時間が過ごせるのなら、いいのでは?」という声も自分のなかにあるのですが、その体験の先にあるのは「自分が何をしたいいのかわからなくなってくる」という無力な感覚です。なぜかというと、その時々に提示された「面白い」情報のほとんどは、自分が選んでいるわけではなく、アルゴリズムが「反応する確率が高い」という統計値に基づいて差し出しているものに過ぎないからです。自分では冒険をしているつもりが、アルゴリズムというお釈迦様の掌の上をグルグル回っているだけ、というイメージが浮かびます。
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「結局人は承認欲求のために動いている」「自慢するためにやったんでしょ」「プライドが高いからな、あいつ」「そう言っているのは認められたいからだ」などと指摘して悦に入っているような人間のことを、パスカルは「最も愚かな者」と呼んでいます。こういう人間は、最も愚かな「気晴らし」に終始しており、醜い虚栄心を拗らせていると考えたのです。
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そしてこの本「東京都同情塔」から
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東京都同情塔
「東京都同情塔」を読み終えた。..著者は九段理江さんで、先日の芥川賞受賞作だ。面白そうだったので購入。この方の作品は初めてだった。.*ネタバレします。知りたくない方はページを閉じてください。.....■..数学少女はレイプをされて「レイプをされた」と主張したが、彼女をレイプした男と、話を聞いてくれた人々が、それを「レイプではなかった」と判断した。「レイプではなかった」理由として彼らが挙げたのは、レ...

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スマートでポライトな体裁を取り繕うのが得意なのは、実際には致命的な文盲であるという欠点を隠すためなのだろう。いくら学習能力が高かろうと、AIには己の弱さと向き合う強さがない。無傷で言葉を盗むことに慣れきって、その無知を疑いもせず恥じもしない。人間が「差別」という言葉を使いこなすようになるまでに、どこの誰がどのような種類の苦痛を味わってきたかについて関心を払わない。好奇心を持つことができない。「知りたい」と欲望しない。
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いかにも世の中の人々の平均的な望みを集約させた、かつ批判を最小限に留める模範的回答。平和。平等。尊厳。尊重。共感。共生。質問したそばからスクロールを促してくるせっかちな文字が脳裏に浮かぶ。そしてなぜか僕は文章構築AIに対しての憐みのようなものを覚えていた。かわいそうだ、と思っていた。他人の言葉を継ぎ接ぎしてつくる文章が何を意味し、誰に伝わっているか知らないまま、お仕着せの文字を並べなければならない人生というのは、とても空虚で苦しいものなんじゃないかと同情したのだ。けれどもちろんAIには、苦しみも喜びも人生もなく、傷付くこともないのだから別に意味のない同情だ。人間だからといって誰しもが難なく言葉を扱えるというものではないけれど、少なくとも人間は喋りたくないときには黙ることができる。
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まずは少しのお金と時間を使って380ページ読み切ることから始めてみるのはどうだろう?
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匿名の10分動画では味わえないものを感じられると思うよ。

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