「テキヤの掟」を読み終えた。
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著者の専門は犯罪社会学で学術博士らしい。面白そうだったので購入。
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タイトルがテキヤノオキテ・・回文のようで回文ではない。タイヤキヤケタみたいな(笑)これはどうでもいい。この人の本は初めてだった。
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テキヤの圧倒的大多数は暴力団ではない。しかし、テキヤ系暴力団が存在することも事実である。
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暴力団とテキヤを同一視することは誤りである。ヤクザは人気商売であり、地域密着型の「裏のサービス業」だがテキヤは売る商品を持っている。顔が見えない商売ではなく、商品を対面で売って100円、200円の利益で細々と商売している。だからてテキヤは暴力団や博徒を指して「稼業違い」と言う。
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ヤクザなら縄張りと称すところを、テキヤは庭場と呼ぶ。物を売るという実態のある商売でしかカネを儲けない。恐れるのは暴対法ではなく食品衛生法であり、保健所に頭が上がらない。
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神農であるテキヤは祀神(祭神のこと)が違う。テキヤの盃事の儀式には中国神話の農業の神である神農と、中国の伝説の帝王で医学の祖とされる黄帝、神農黄帝の軸を軸を掲げる。ヤクザの場合は天照大神を中央に掲げ、八幡神、春日大社を左右に掲げる。
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手配師になるには、交番に行き、手配師登録カードなるものに氏名・住所・生年月日などを記入し、手配師仲間に面通しすればOKでした。今では考えられないけど警察公認の職業だったわけです。
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「縁日」とは毎月決められた日にお参りをするといつも以上のご縁を仏様、神様と結ばれるという日です。
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1949年の露店整理令を機に、公道上の露店は禁止され、以降は寺社境内などで臨時に営業していくようになった。現在、縁日でしか見かけない露店は、関東大震災や戦中戦後という時代の波にもまれながらも必死にテキヤ稼業を続けてきた神農の人々の末裔である。
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テキヤの若い衆はカタギだが、本家の親分に限っては土地のヤクザの親分と兄弟分の盃を交わすケースもある。その理由は「みな組長や一家の代表者が「オツキアイ」は俺一人でという気持ちで、類を下部に及ぼさないよう防波堤の役を一身に引き受けている」からである。
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テキヤの庭場があるシマを治めるヤクザの親分の誕生会では30万円、襲名披露式には100万円、お悔み事には30万円など稼業違いとの付き合いにも出費がかさむ。縁日が毎日開かれる訳ではないから親分クラスの者は副業がなければやりくりできない。
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テキヤの中には、商売はテキヤの看板、問題が起きたら任侠(暴力団)の看板を出す人がいる。このような二枚看板は警察も面白くないですよ。どうしても任侠に拘るなら神農の看板を外すべきですね。
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人間は社会的動物であるから、一人では生きられない。そこに仲間が居ると何となく日々を生きてゆけるものだ。社会の最底辺で弱い者、追い詰められた者同士が必死に疑似的な連帯を求めようとするのは今も昔も変わっていない。
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以上引用です
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子供の頃、お祭りの屋台がとても好きだった。
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小学生にもなると親からもらった小遣いを握りしめて、友だちと一緒に手と口をベタベタにしながら路上で綿菓子を食べていたな。
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前日から、大金を手にしたら(1,000円くらい)何を買おうかと妄想しながらワクワクしていたものだ。
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つまるところ、お祭りは本当に一大イベントだった。
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当時は心底「屋台の人は毎日がお祭りでいいなー」と思っていた(笑)
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そもそも「テキヤ」って何だろう?語源、源流は諸説あるそうだ。
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近来はテキヤ(的屋)、かつては香具師(ヤシ、ヤーサマ、ヤーコウ)と呼ばれたところの集団が、いつの頃からどのようにして発生したものであるかはもとより詳らかになしえない。ヤシの転倒から生じたというが、そのヤシという呼称にしても、野士、野師、薬師、矢師、八師の諸説粉々としており、しかもそのいずれも信憑するに足るものではない。
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なるほど、はっきりしたことは分からないと。
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テキヤは元々、関東大震災や大東亜戦争後の焼け野原から細々と始まったそうだ。今でいう小売店、対面商売の原型と言えるかもしれないね。
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暴力団とは違うと書かれているけれど、現状ではグレーゾーンのような印象を受けたかな。
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紆余曲折があり歴史的な慣習を断ち切るのは難しいだろうけれど、テキヤ団体が一枚岩となってホワイト化に舵を切るのも一つの手なのかなと。
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印象的だったのは、小売とテキヤ全盛の時代に百貨店が現れた件だ。
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四谷新花会の中村宗朗は「現在の社会を考へ、百貨店の建築を中止すること」と書かれた決意書を出し、日本橋三越本店で割腹自殺する。
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しかしながら、時代の変化には抗えなかった。
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皮肉にもそれは当時を謳歌したデパートも同じで、消費のシフト(ネットやファストファッションの台頭)に対応できなくて苦しんでいるよね。
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損得を考えずに筋を通し、義理人情に厚い人間性は素晴らしいと思う。くわえて相互扶助的な意味合いもあるだろう。個人的には、そんないいところはそのままに生き残っていって欲しいな。
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縁日から屋台が消えるのは寂しいものだよ。
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