君が手にするはずだった黄金について

小説

「君が手にするはずだった黄金について」を読み終わった。
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著者の小川哲さんは直木賞作家だそうだ(知らなかった)本屋をぶらついているときに偶然見つけて購入。この人の本は初めてだった。
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読書とは本質的に、とても孤独な作業だ。映画や演劇みたいに、誰かと同時に楽しむことができない。最初から最後まで、たった一人で経験する。それに加えて、本は読者にかなりの能動性を要求する。目の前で何か行われていることを受けとればいい、というわけではない。読者は自分の意志で本に向き合い、自分の力で言葉を手に入れなければならない。そんな拷問を、場合によっては数時間、十数時間も要求する。僕はときどき本というものが、わがままな子供や、面倒くさい恋人のように見える。「僕だけを見て、私だけにずっと構って」本がそう喚いているように感じられるのだ。実に傲慢だと思う。しかしその傲慢さのおかげで、僕たちは一冊の本と深い部分で接続することができる。二人きりの時間をたっぷり過ごしたからこそ可能になる繋がりだ。
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同志少女よ、敵を撃て
「同志少女よ、敵を撃て」を読み終えた。 . . 本屋で ジャケ買い 面白そうだったので購入。アガサ・クリスティー賞受賞作だそうだ。 . . ■ . . 共産主義は未来へのとほうもない脅威なのだ。われわれは軍人の戦友意識を捨てねばならない。共産主義者はこれまでも戦友ではなかったし、これからも戦友ではない。みな殺しの闘争こそが問題となる。われわれは敵を生かしておくことにな...
丘の上の本屋さん
「丘の上の本屋さん」を見終わった(2021年/イタリア) . . イタリアの丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。店主のリベロは、店の外で本を眺める移民の少年・エシエンに声をかけ、好奇心旺盛な彼にコミックから長編大作まで次々と店の本を貸し与えていく。感想を語りあううちに、2人は友情で結ばれていく。 . . めちゃくちゃよかった! . もう3回見れる! . ...

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小説には、本物の世界では味わうことのできない奇跡が存在する。いつもその奇跡に出会うとは言えないが、特別な本に出合ったときは、言語で説明できない類の感動を覚える。百パーセント言語によって構成された本という物体が、どうして言語を超えることがあるのだろうか --- 少なくとも言語を超えたような錯覚を得ることができるのはどうしてだろうか。その秘密はきっと、読書という行為の孤独さの中にある。
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お探し物は図書室まで
「お探し物は図書室まで」を読み終えた。 . . 本屋大賞で知った本。著者は青山美智子さんという方で、著者の作品は今まで一度も読んだことが無い。恥ずかしながら名前も知らなかった・・ . . ■ . . 私は今まで、自分をなんて粗末にしてきたんだろう。口に入れるものや身の回りのものをていねいに扱わないって、自分を雑にするってことだ。 . . ...

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人生のほとんどは記憶にすら残らない「平凡な一日」で構成されている。「平凡な一日」とは入学式や卒業式、初めて好きな人と手を繋いだ日や、親や教師にこっぴどく怒られた日のことではないし、ましてや地震があった日でもない。少し経てばその日に何をしていたのかすっかり忘れてしまうような、そういう一日のことだ。
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これは僕の主義というか、他人の人生にあまり口出しをしたくないという気持ちを常に持っている。それは、きっと自分の人生は他人に口出しされたくないという気持ちの裏返しなのだけれど、たぶんその性格のせいでこれまで他人に相談されることがほとんど無かったのだろう。何を聞かれても「好きにすればいいんじゃない」としか言えないのだ。
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客観性の落とし穴
「客観性の落とし穴」を読み終えた。 . . 著者は基礎精神病理学・精神分析学博士だそうだ。面白そうだったので購入。 . . ■ . . 数字だけが優先されて、生活が完全に数字に支配されてしまうような社会のあり方に疑問があるのだ。数字への素朴な信仰、あるいは数値化できないはずのものを数字へと置き換えようとする傾向を問い直したい。 . . 「科学の客観的な価値と...

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「この世のあらゆる物事に対して、みんなとか全部とかは成立しない。人それぞれだと思うし、そういう表現は僕も大嫌いだ。でも、占い師だけは例外なんだ。「中には」なんて表現は生ぬるいし、やつらに隙を見せることになる。全員詐欺師だよ。一人残らずみんなインチキだ」
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「厳しく指導されて成長したい」と思っている人は、良かれと思って他人に厳しく指導をしてしまう。「性的指向を聞かれても嫌ではない」と思っている人は、他人に対して不用意に性的指向を聞いてしまうことがある。どちらも道徳の原理に従った結果で、相手に嫌な思いをさせるつもりがないだけ都合が悪い。こういうことはよく起こる。道徳規則として間違っているわけではないので、傷ついたり嫌な思いをした人が不平を言っても、当人にはなかなか伝わらなかったりもする。思うに、二十一世紀の黄金律と銀色律には以下のような注釈が必要だろう。(*ただし、してほしいことや、してほしくないことには個人によって差があります)
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正欲
「正欲」を読み終えた。 . . 朝井リョウさんの新作で、とても好きな作家さんの一人だ。 . . ■ . 「そういうこと、若いころはよく考えたなあ」「そんなこと考えたって仕方がない。毎日を生きるだけ」「人生の意味は死ぬときにわかるんじゃないかな」「むしろそんなことに悩めて羨ましいよ。目の前の家事や仕事で精いっぱい」。これらは全て人生に自然と他者が現れて...

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昔の友人と久しぶりに話すと、独特の緊張感のようなものがある。懐かしさや気恥ずかしさ、微妙な距離感。頭の中が遠い昔にタイムスリップしたようで周囲の景色も違って見えてくる。
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俺は個人的に、人間が理解可能なあらゆるチャート理論はインチキだと思っているけど、実際にはかなりの人が何かしらのチャート理論を信じている。で、チャート理論を信じている人がある程度いると、売りや買いのタイミングが揃ってしまい実際の相場もその通りに動いてしまうんだ。
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片桐が他人のブログを剽窃したのも事実だし、そうやって儲けた金で母子家庭の子供を助けたのも事実なのだ。どちらも片桐という人間の持つ特性だった。実力も無いくせに目標だけは高い。うんざりするほどお節介で、それが世界共通の道徳だと信じている。
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人間
「人間」を読み終えた。 . . 又吉直樹さんの新作で、帯を見ると毎日新聞に連載されていたものを一冊の本にまとめたものらしい。ちなみに前作の「火花」は読んでいない。 . *これから先はネタバレの可能性があります。 . . . . ■ . . 「凡人Aの罪状は自分の才能を信じていること」 . . 「永山に嫉妬するとき、俺は自分の時間を振り...

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きっと片桐は、金が欲しかったのではなかった。才能という黄金を掴みたかったのだ。自分に才能がないことを自覚しつつ、たとえ偽物でもいいから自分の才能を誰かに認めてもらいたかったのだ。だからこそ、初めから勝ち目のない詐欺に手を出したのだ。
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スター
「スター」を読み終えた。 . . 朝井リョウさんの10周年記念作品の一つ、スターを読んだ。 . . シッピングカートに入れたまま中々読めていなかった本でようやく購入して読めた。もう一つの「正欲」は以前に読んでいる。 . . ■ . . 幼少期に抱いていた興味関心から遠く離れた領域で日々の仕事をこなしている同級生を見ていると、かつて好きだったものをその...

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ババのことを嫌っている人は、人生のかなりの部分をババの粗探しや失敗探しに費やしている。どうやらババには、それだけの「嫌う」価値があるらしい。ネット上には「ババ学」という架空の学問があり、その学問はババの行動を「一定の規則で読み解いている」と主張している。「ババ学」にどれだけの正当性があるかどうかは、ババの作品をほとんど読んだことがない僕には判断できなかったが、明らかにこじつけだったり、悪意によって事実を歪曲していそうな記述もあったりして読むだけで心が痛んだ --- 痛むというのに、僕は読むのをやめられなかった。とにかく、それらの凝縮された悪意に、こちらの心を掴む求心力があったのは事実だ。

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以上引用です
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どこまでフィクションなんだろう?
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読んでいるうちに、著者のエッセイというか自伝のようにも思えてきた。
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帯には「自身を主人公にして描くのは承認欲求のなれの果て」と書かれているので、半分ほどはファンタジーなのかな。
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努力家で、モンロー主義、かつ非科学的なことを好まない。
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そんな人物象が垣間見える主人公と、お節介で、日和見主義で、本能的な全く正反対の人物との考え方の違いや共通点が大変興味深かった。
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自分はどちらかいうと前者のタイプなので(努力家ではないけれど)「うんうん」と共感する箇所も多かった。
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この本「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」から
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事実はなぜ人の意見を変えられないのか
「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」を読み終えた。 . . 前からずっと読みたくてショッピングカートに入れてあった本。著者はユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの教授で神経科学者だそうだ。 . . ■ . . 脳をスキャンすると、自分のとっておきの知恵を他人に伝える機会を得たとき脳内の報酬中枢が大いに活性化するのがわかる。 . . 結婚生活が長く続く一番の...

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自分とは外見も話し方も違う人でも、その脳はほとんど同じように組織されていて、同じ刺激に対して同じ反応を返すことは忘れられがちである。
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どんな人間も、ほとんど違いはないんだよね。
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つまるところ、性格は違えど、同じ「人間くささ」は隠しきれない。
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そういうところも伝えたかったのかな。
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承認欲求の呪縛
「承認欲求の呪縛」を読み終えた。 . . ■ . 承認欲求の呪縛に陥るのは、認知された期待と自己効力感のギャップが大きいとき、すなわち「期待の大きさを実感をしている一方で、それに応えられる自信がないとき」だそうだ。 . 自分もブログのアクセス数が増えると単純にうれしいし、コメントがあれば記事を読んでくれた人に返信したくなる。何かしらアウトプットしている人は少なからずそんな...

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著者が自身を主人公に重ねて小説にすることが承認欲求だとは思わない。寧ろ全く逆の性格のように感じた。
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本当に実力があれば、余計なことをする必要はないだろう。
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本業に影響が出るので、逆に露出を控えようとするくらいじゃないだろうか。直木賞作家にもなると、怪しい輩もすり寄ってくるわけで。
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これは、本当に承認を受けた者、著者のような人にしか分からない「有名税」の一つかもしれないね。
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ジェネレーション・ハッスル
「ジェネレーション・ハッスル」を見終わった(全10話) . . 脚本の映画化を持ち掛けるなどして、ハリウッドを夢見る人々を巧みに欺く“詐欺クイーン”。その手口や目的、真の正体とは?若くしてイベント会場の経営者となり、若手起業家として注目を浴びたイアン。だが、ある時から人生の歯車が狂い始めていき(U-NEXTより) . . 感想は・・・見るしかない! . 一言...

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特に「三月十日」と「偽物」が好きだった。
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大変読み応えがありました、面白かった!

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